ブラケットHDR撮影で、最も難しいのは何といっても動体です。
しかも、適当に写ればいいものでなく、そのディテールが問題になるもの、つまり人間が難しいです。
幸い、現在のPhotomatixには、「動体ゴーストを除去」する機能があり、多少のゴーストならば除去することが可能です。
ただ、この機能にもやはり限界があります。
「動体ゴースト除去」は、複数の絵柄の中で、輪郭が異なっている部分を判定し、その部分を、その時点で「最も豊かな階調をもった」ショットで置き換えます。
また、置き換えた部分は他(動体のなかった部分)とコントラストの具合が変化するため、「マスク」を作られて境界をなじませる処理が入っています。
このとき、動体の占める面積が多いと、合成用マスクが大きくなって、1枚からのHDRとほとんど変わらなくなってしまうことになります。
作例でも。画面の下半分がほとんど動体になってしまい、1枚RAWとほとんど変わらない仕上がりになりました。

それではますいので、方針を変更し、1枚RAWからRAW現像してJPEGの明暗画像を作り、レンジがオーバーしている部分に、ブラケットのダークショットを合成して補うという方法をとりました
こうすれば、動体部分はRAWなのでMDRですが、それ以外をHDRにすることができ、見た目リッチなHDRが作れるような感じがします。
実際には、この作例では「明るいショット」と「標準ショットを明るく現像したショット」にほとんど差がなく、ブラケット画像は使用しなかったので、正確には「RAW 2点から現像」して合成したことになります。
RAWのダイナミックレンジがあと2bit、ハイライト側に広がってほしいと思います。もしRAWダイナミックレンジが16bitになったら。。まだ足りないっすね。
朝7時のドバイ国際空港。トランジット客でごった返す。国政人種言語不明の客多数。
Pentax K-r / 3shot RAWブラケット / RAW現像:CaptureOne / Photomatix
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2011.12.03 Saturday
HDR : 動体とブラケット撮影の悩ましい関係
2011.11.23 Wednesday
HDR : Pentax K-5の夜景ライトアップHDRには文句言えない
(注:自分はPentax K-5ユーザではありません。あくまで借りて撮っている身なので、保有システム礼賛ではありません。念のため)
Pentax K-5の夜景ライトアップのHDR撮影、これはいい。いつも下位機を使っている自分として痛感します。
中には、何でそこまで差をつけなきゃいかんのか、といった憤りもありますが、使い勝手を考えた機能には頭が下がります。
取扱いが面倒なRAWでなく、JPEGだけでもほとんどの場合、特に技巧的なセッティングなしでキチンと撮影できます。
自分が感心したK-5の機能
±2EV / 5ショットのオートブラケット
東京のような「明るい夜景」でなく、地方や外国などの「暗い夜景」の場合、夜景ライトアップにはけっこうなダイナミックレンジがあります。スポットライトのようなキャッチライトは無視するとしても、広い面積を覆い尽くす「闇」をきちんと写すには、±8EVの露光幅は重要です。
Pentax K-rのような±3EVピッチ、3ショットでも、露光に気をつければ夜景ライトアップHDRは撮れますが、露光ピッチが広いので、描写がけっこう荒っぽくなります。その点、露光許容幅はあるし、2EVピッチ(1.7EV、1.5EVでも)が生み出す緻密なグラデーションで、微妙なグラデーションの夜空を表現できます。
ワンタイムレリーズ
ブラケット中のレリーズ押しっぱなしは、リモートケーブルを使っても気を使います(レリーズを途中で離すと撮影中断され、何がなんだかわからなくなります)。一発シャッターは快適。
有線リモコンブラケット、前面無線リモコンブラケット、セルフタイマブラケット
Pentax K-r / K-xにはこの機能がないため、いつも苦労しています。
夜景ライトアップHDRにはシャッターチャンスという概念がないため、セルフタイマ起動のHDRは本当に快適。
高ISOでの低ノイズ性能
ブラケットで夜景を撮ってみればわかりますが、「高ISO」というのは、ISO6400とか12800ではありません。
最も明るく写すブラケット撮影のとき、絞りf5.6〜8、シャッター速度の上限30秒で相当するISO設定で、どこまで低ノイズが実現できるか、ということです。
先ほどあげた「暗い夜景」なら、この値はf5.6/30秒露光でISO800から1600。スポット光の写りを考えたらf8にしたいくらいなので、この露光時間とISOは必要です。
その他、操作性の良さ
前・後面ダイヤルを使った、ISOとf値の同時セットとか、上限ISOの設定変更とか、操作が非常にやりやすいです。暗闇の中、背面液晶がピカピカ光ると周囲にもよくないし、間違えないで確実スピーディーに設定を決めるには、操作性が良いことが必要です。このあたり、本当にうまいこと考えてあると感心します。
あとカメラには無関係の話
・三脚必須
一分近い連続撮影には三脚必須。三脚禁止の場所でも、知らん顔して三脚を立てる傲慢さが必要です。
自分の場合はそんな場所へは最初から行きませんが。カメラを適当に固定して、RAW一発で撮っても、見栄えするHDRにはならないのです。
・レンズはできるだけ良いものを
夜景ライトアップHDRでは、通常夜景の何倍もレンズの欠点が強調されます。絶対いいレンズを使いましょう。
安ズームで撮影すると、点光源スポットのフレアやゴーストに泣かされます。
・カメラ前を死守する
馬鹿みたいに長い間撮影しているので、前で中国人グループなどに騒がれると台無しになります。
排除する勇気を持ちましょう。
作例:パリ・ルーブル中庭のピラミッド
パリの夜空は信じられないほど暗く、三脚絶対必要。重いけど仕方ないです。
こら観光客! 携帯電話やコンデジフラッシュやめんかい!
Pentax K-5 / Pentax 16-45mm(やっぱ純正) / ±2EV5ショット / Photomatix
2011.11.18 Friday
Canon一眼レフのHDR撮影に、Magic Lantern
Magic Lanternって知ってる?

Magic Lantern Firmware Wikiを見てくらはい。
Magic Lantern(マジック・ランターン)とは、CanonのDSLR(Digital Single Lens Reflex camera:一眼レフ)にアドオンするファームウェアで、以前紹介したPowerShotやIXY Dogital用のアドオン・ファームウェア、"CHDK"の一眼レフ版に相当します。
現在、主に3つのバージョンで開発が続けられており、対象機種は、
EOS 5DMkII
EOS 60D、EOS 50D
EOS Kiss X3、EOS Kiss X4、EOS Kiss X5
となっています。このうち、5DMkII、50D60D、Kiss X4が主力ターゲットで、Kiss X5にはまだ未実装の機能があり、50D、Kiss X3は一部機能未実装のままオワコン状態?、また5DMkIIにはさらに高機能の別バージョンが存在します。
実は以前、まだバージョンが極端に低かった時に、借物のEOS Kiss X3に内緒でMagic Lanternを入れた記憶があるのですが、当時は「動画専用」のファームウェアで、現在とかなり内容が異なっていました。
また動作もきわめて不安定で、当時すでに使い物になっていたCHDKと比較して、がっくりした記憶があります。
ところが、最近Flickrで知り合った英国人(こいつなぜか日本語が読めるらしい)から、「お前はブログでPentaxばっかアホみたいに礼賛しているが、キャノンのHDRならMagicLanternをなぜ出さないこのジャップ(半分英語・意訳)」とお叱りを受け、「ありゃ動画専用だろうがに」と反論したら、「オーマイガッ!お前英語を読めんのか!(半分英語・意訳)」となって、久々にドキュメンテーションを読み、赤っ恥をかきました。
しれっと書いてある最大5EVピッチ9連写!

で、仰天。
機種によって固有差があるらしいのですが、「Magic LanternのHDRerむけ機能」として、「最大5EVピッチ+9連写」とか、もっと読んで行くと「スクリプトで制御可能」とか、とんでもないことが書いてあります。
この連写機能、以前、CHDKでやったときは、カメラを「連写モード」にして、まるでセルフタイマーでも切るようにインターバル露光していたため、1秒1ショットという低速レリーズだったのですが、今回もそうなのかは全く不明です。
考えてみればHHDKのブラケット機能は、画像処理エンジンDigic III上でBasicスクリプトを走らせて実現していたもので、撮影バッファ容量との関係で、安全なインターバルをみてあり、遅いと言えば遅いのですが、その分多機能なので文句なかったです。
また、CHDKではRAWブラケットも不可能でした(JPEGブラケットで、最初の1発をRAW同時露光にすることはできた)。
自分にもっと技術力があれば、3発RAWでブラケットするとか、色々考えられたんですが、そこまで突っ込む力がなくて。。すいません。
もし、この連写機能がスクリプトでなく、カメラ本体の連写機能そのものを使用しているなら、たとえばEOS Kiss X4でも3.7fpsとかでブラケットできるし、RAWやRAW+でブラケットできるわけで、そりゃ大変だ、と思ったりします。
やはりスクリプトとセルフタイマーを使った連写のようです。ただ、CHDKと異なり、RAWは純正仕様で保存できるようですな。
そもそも、キャノンのデジタル一眼レフは、
・画素数がデカい
・RAW現像の対応ソフトが多い
・タイマやリモート撮影のアクセサリが多い
・サードパーティー製の怪しい周辺機器が豊富
と、自分のようにマイナーなPentaxユーザにとって垂涎の特徴が数多くあります。羨ましい
なんか恐ろしいことが書いてあるインストールマニュアル
いきなりの書き出しで、"THIS IS DANGEROUS AND MIGHT DAMAGE YOUR CAMERA."とあり、よく読んでみるとブ−トに失敗すると、(ショートしたみたいになる?)猛烈にバッテリーを消費し、発熱でLCDが変色するかもしれない、と書いてあります。
でも、そんな事、マザーボードのBIOS書き換えにだって書いてあるし、LCDなんか変色したってヒビ入ったって、見えればそれでいいじゃないかと思ったり、キャノン機なら安い互換バッテリーが山ほどあるので、バッテリーの5つや6つ壊れてもなんじゃい、と思ったりします。(オイオイ
カメラ内HDRは何とEnFuseライブラリ
EnFuseというのはフリーのExposureFusion用ライブラリ(トーンマッピングではありません:念のため)ですが、何とMagicLanternはファームウェアにEnFuseを内蔵しているようです。
ひょっとして各社の「カメラ内HDR合成」も、こいつを使っていたりして。。と思いました。
EnFuseには多彩な設定パラメタがあるのですが、好きに設定できるのでしょうか? なら嬉しいなあと。
チャレンジ! キャノンユーザの皆様
EOSシリーズは何といっても圧倒的にユーザが多く、自分的には日本のデジタル一眼ユーザの半分以上がEOSユーザのような気がしています。
いままで、正直キャノンはブラケット撮影のHDRに熱心でなく、±2EVピッチで3連写という、ごくごくふつうの連写能力しかなかったために、ブラケットHDR撮影を断念していた人も多いんじゃないかと思います。
キャノンの一眼レフは、最近になってEOS 7D / EOS 60Dで、±3EVピッチのブラケットができるようになったばかりで、これまで救済のなかった、EOS Kissや50D、そして5DMkIIユーザには朗報でしょう。
なので、この「Magic Lantern」の存在意義は大きい、と?
Magic Lanternの「本来の売り」動画撮影能力(こちらではHDRの機能しか紹介しないので、あとは自分で読んで)はもちろん、ブラケット撮影能力のことだけ考えてもチャレンジする価値はあるのではないでしょうか。
ただしあくまで自己責任。奥様のKiss X4なんかをブチ壊したら恐ろしいことになりそうですね。
え、さんざん煽ったお前はチャレンジしたのか、と?
PentaxはK-5でもK-7でも、標準でそれくらいのブラケット能力があるので、別に
そのうち試してみます。誰かEOS 50Dとか貸してください。
↓のメニュー画面を見ていると、モーションディテクトやら、タイムラプスやら、恐ろしい機能がいっぱいあります。手を叩いてシャッター切る??? オイ

2011.11.14 Monday
HDR : 「RAWミックス」撮影法で手持ち望遠HDR
望遠HDR最大の難敵、カメラブレ
ASP-Cカメラに200mmくらいの望遠レンズをつけると、35mmカメラに換算して300mmくらいの望遠レンズになることは、有名な話だけど、それくらいの解像度で撮影したい被写体は数多いです。
代表格は航空機。空港の限られた撮影スペースで、いい雰囲気の空港写真(飛行機だけでなくいろんな補助車両とか、作業員とかいろいろ)を取ろうと思ったら、望遠レンズに助けを求めざるをえないです。
で、そこで止せばいいのに、HDRのためのブラケット露光を目論むと、過酷な撮影条件に泣くことになります。
なぜか? 答えは単純です。ブラケット露光をするためには、複数の露光を行うわけですが、ライトショット(明撮)を行うためには、極端に遅いシャッターを切らねばいけないからです。
自分の持っているPentax K-rの露光幅は±3EV。シャッター速度は2の3乗、つまり8倍の長さになります。標準が1/500秒とすると、ライトショットは1/60秒に。
もちろん、自動ISO設定などで高ISOに持っていけば、それなりに速いシャッターも切れるのですが、画質を考えればあまり無理をシたくない。加えて自分のようなパンフォーカス馬鹿は、ますますシャッター速度が遅くなります。
そこで、どうするか。
自分が考えたのは、プラス補正でRAWでブラケット撮影し、明撮ブラケットを捨てて(どうせ粒子粗いし、ブレてるし)、代わりに明るくRAW現像した画像を使う方法。他のショットは全部、RAW現像して、動体ゴースト除去でトーンマッピングします。
いわば、シャドウ側だけをMDR露光にする方法。これだと、明撮は絶対にブレないし、粗くなることもありません。
気になるレンジですが、プラス補正をかけて撮影するため、日中ならまずシャドウ側がレンジ不足になることはありません。もちろん、ダークショットはコテコテにブラケット露光されていますので、RAW一発みたいなペラペラHDRになることもありません。
何点かためしていますが、今のところ非常に快調。
次回、細かくメカニズムを説明します。以上!
作例はシャルル・ドゴール空港の入口駐車場付近から見えた駐機場。補機の類に萌えるわ。
ライトショットにブレボケノイズの心配がなければ、HDRはかなりシャープになると思いますが?
Pentax K-r / 200mmf4.5 / RAWブラケット+RAW現像でJPEG5点から動体ゴースト除去でPhotomatix合成
2011.11.13 Sunday
HDR : 逆光+動体=苦行
ブラケットRAW連発の撮影は厳しい
これまで、いくつも実験的手法を公開してこられた、東京在住のHDRer、nonbeさんによるポストPhotomatix Pro 4Jの動体ゴースト除去の素晴らしさが話題になって以来、自分も前からのスナップ好きが頭をもたげて、逆光気味のスナップばかり撮ってしまいます。
太陽が斜光でパッと差し込んだ構図とか、ちょっと建物のエッジに太陽がかかった構図とか、そんなショットが多いです。
自分はカメラはともかく、ロクなレンズを持っていないので、太陽をまともに入れるとフレアとかゴーストとか、とんでもなく酷いことになるため、微妙に太陽を避けた構図をとるのですが、それでも結構なコントラストになるのです。
大体、逆光HDRは撮影が難しすぎます。なんかシルエット風に一発撮ればいい普通のお写真と違って、明暗ふくめ3点撮って、やれシャドウは潰れちゃ駄目、ハイライトは飛んじゃ駄目だという厳しさ。
おまけに、最近わかってきたのですが、標準ショットにも制限が多く、露出オーバーだとエッジの変化で動体と判断され、周辺部分にえげつないハローが出ます。
結局、レリーズ速度に物を言わせて、露出補正しながらブラケットRAWを撮りまくるしかなくなって、結局、あっと言う間に電池がなくなります
(自分はPentax K-rと単三エネループで撮っているので200ショット持ちません)。
サブカメラで使っているLumix DMC-LX3も引っ張り出して、±3EVでRAWモードで撮りまくります。
Pentax K-rのブラケットは、±3EVで3ショット撮影のタイプなので、Pentax K-5などに比べるとレンジが狭く、シビアに露光を決めないと、逆光では容易に露出アンダーやオーバーを起こします。
この撮影法、最強なのはわかるが結構大変だわ。
電池なくなる、SDHCなくなる、帰ってからの画像整理大変、ハードディスクがどんどん減っていくし、そもそもPhotomatixでトーンマッピングするまで全く結果が見えないのもナニで。。
容量ばっか食うし、PCのファンは唸りまくるし、なんかエコじゃなkなあと思います。
Pentax K-5やK-7使ってる人は、5ショットも撮るのでもっと大変そうですが。
作例はパリ・コンコルド広場でバスを待つ外人観光客どもの図
(自分のほうが外人観光客)
車も人も動く動く。動体ゴースト除去で変な絵が量産されたなかで、奇跡的にうまく合成できた一枚。
移動物が大きいと本当に大変です。
Pentax K-r / ±3EV 3ショットRAW / Photomatixでトーンマッピング / 自動動体ゴースト除去
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